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    珠玉の短編 梶尾真治

  • 2004.09.29 Wednesday
  • 昨年、「黄泉がえり」という映画が公開されました。ご覧になった方も多いと思います。
    僕は驚きました。あの「黄泉がえり」が映画化か! ! 
    このときの感情を説明するのは難しい。何か大切な宝物を取り上げられたような、複雑な心境になったことを覚えています。僕は原作者である梶尾真治の大ファンだからです。
    しかも、「黄泉がえり」は梶尾作品の中ではさほど…飛びぬけた作品ではない。梶尾真治の本領は切なくて哀しい、詩情溢れる短編にあるからです。これで梶尾真治が判断されても困るし、「黄泉がえり」を読んでファンになられても方向性に問題があるし、貶されても悲しいし…。思いは千々に乱れました。我ながら狭量なことだと呆れます(汗)。

    梶尾真治の小説を最初に読んだのは、おそらく中学生のとき。筒井康隆編の「’71年SFベスト集成」に短編が入っていたのです。題名は「美亜へ贈る真珠」。
    実験として、航時機に搭乗することになったひとりの青年。航時機とは、「時間軸圧縮理論」によって、時間の流れを1/85000にするマシン。言わば「生きたタイムカプセル計画」で、機外の一日は機内の約一秒にあたります。青年が機外を見ると、早送りのビデオのように見えているはずなのです。彼は何故航時機に乗ることになったのか? 彼は天涯孤独ですが恋人が居ました。彼女は、毎日のように航時機の彼の前に姿を現します。しかし、彼には駒落しのようにしか彼女は見えていない。否、果たして見えているかどうか。一年間航時機の前に立ち続けても…5〜6分に過ぎないのです。彼の想いと彼女の想いが違う時間軸の中で交錯するのです。そして…。
    SFを読んでこんなに切ない思いになったのは初めてでした。

    作者の梶尾真治は、熊本在住で専業作家ではなく、商業誌に発表されたのはこの一篇だけである、と「ベスト集成」のあとがきには書いてありました。こんなリリカルな短編が書ける人が埋もれているのか…と残念に思いました。
    しばらく経って、書店で短編集「地球はプレイン・ヨーグルト」を見つけたときは嬉しかった。梶尾真治の第一短編集が出版されていたのです。仕事の傍ら、氏はこつこつと熊本でSFを書き続けていたのです。
    様々な短編が収められていました。意外な結末、パロディ、ユーモア溢れる作品、様々取り混ぜられていました。そして、僕の好きな切なくてたまらない作品もやはり何作か入っていたのです。

    その後もカジシン先生(笑)は、コンスタントに作品を発表してくれました。もちろん兼業であるからして寡作でしたが。新作が出るのを心待ちにしていつも待っていたような気がします。
    「おもいでエマノン」という作品があります。この小説の主人公エマノンの設定が凄い。何十億年か、地球上に生物が誕生した、その単細胞生物からの記憶を持ち続けている少女の話なのです。エマノンは結婚して、子供を生むとその記憶は子供に受け継がれていきます。出産したエマノンは膨大な記憶を忘れ、その子供がエマノンとなります。そうして一子相伝のように「地球の歴史」の語り部として、生命が発生してから現在までの膨大な記憶を受け継ぎつつ生きているのです。忘却は許されないのです。地球の生命全体の「おもいで」のために。
    フェリーの中で乗り合わせ、エマノンに恋をしてしまった青年は、そのことを知り愕然とします。彼にとっては数時間のエマノンとの痛切な記憶も、彼女にとっては何十億年の記憶の中の数時間ですから。
    数年後偶然再会したエマノンは、彼の問いに答えて言います。

    「あなたのことは永遠に忘れないわ。数時間一緒にいても、数十年一緒にいても、好きだったというおもいでは私にとっては同じことなんだもの」

    数時間と数十年。何十億年生きているエマノンには、それはどちらも刹那だったのです。

    梶尾真治氏の短編小説の魅力が伝えられているとはとても思えませんが、とにかく僕は好きなのです(笑)。誰に語っても分ってくれるひとは非常に少ないので(汗)、こういうところでボヤいているわけです。m(_ _;)m
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    | 2004/09/29 | 過去日記<BOYAKI> | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) |

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