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    光瀬龍 〜膨大な時間の流れの中で〜

  • 2004.09.25 Saturday
  • 僕の中では、SFと言えば光瀬龍の作品です。壮大な時空間を舞台に描かれる珠玉の名作。5年程前に惜しくも亡くなられましたが、小松左京と並んで、今もその作品群は日本SFの金字塔であることに間違いはありません。

    よく光瀬龍の作品は、「東洋的無常観の中の虚無と諦念の文学」と言われます。評論家通りの表現は悔しいのですが正にその通りです。氏は、時代SFやジュブナイルも手がけられますが、その真骨頂はあまりにも大きな宇宙を舞台にした作品でしょう。
    悠久の時間の流れの中では人の生き死になどひとつの変化にしか過ぎない。果たしてこの宇宙はどこから生まれてきたのか? そして文明は何故滅んでいくのか? 宇宙興亡史の中で、一つ一つの回答を出していこうとするが、その答えは余りにも無情で儚い。

    特に必読なのは、初期の長編「たそがれに還る」「百億の昼と千億の夜」「喪われた都市の記録」及び連作短編「宇宙年代記シリーズ」でしょう。
    ストーリーを描写することなどとても僕には出来ませんが、「たそがれに還る」は、3000年代に金星に起こった異変の調査に赴いた調査局員シロウズが既に滅びた異星人文明の巨大な建造物に遭遇するところから始まります。太陽系を超える文明を築いた人類も、悠久無限の宇宙の中では人類の営みも一瞬のようなもの。遥かな時空を越えた「滅びの声」を前に、スペースマン達は余りにも儚い存在なのです。
    あー全然書けないや(汗)。抽象的な描写しか出来ないのがもどかしい。

    「百億の昼と千億の夜」は更に複雑かつ壮大です。世界の創造と終焉にまつわる伝説に必ず出てくる超越者の存在。その謎に迫るべく、おりおなえ、シッタータ、あしゅらおうは、過去から未来までの時空間を縦横無尽に飛び、巨大な力に戦いを挑んでいく。しかしてその超越者の正体とは? 何故に人は滅びの道へと辿るのか?
    こんなに壮大な物語は僕の中では空前絶後です。神とは何か? 人は何故に生まれてきたのか? 僕は哲学書さえも参考文献にして読んだ事を思い出します。無限世界とその中にあることの存在理由。読後は、ぽっかりとした虚無感に支配されるのです。
    (この作品は萩尾望都が漫画化しています。そっちの方が読みやすいです。原作は必読ですが。)

    そして、「喪われた都市の記録」となると…ああもう書けないや。

    宇宙を舞台にしたこれらの小説の中で、自分が刹那的な存在と知りながら精一杯に存在を示そうとしている人たちは確かに魅力的です。しかし、抗っても所詮は膨張する宇宙の中では哀しい…。宗教、哲学、そういったものでは解決できない冷酷かつ広漠なものに対して、蒼白い炎を連想させる詩情溢れる文章で物語が綴られているのです。

    もっと光瀬龍の小説って読まれてもいいと思うけどなぁ。興味ない人には全然興味ないかなぁ…。



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    | 2004/09/25 | 過去日記<BOYAKI> | 00:00 | comments(6) | trackbacks(0) |

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  • 2016.12.30 Friday
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    | 2016/12/30 | - | 00:00 | - | - |

    コメント
    素晴らしい書評に敬意を表します。「たそがれ」「百億の」「喪われた」の三部作を二十数年前に読みました。正直何のことやらサッパリ解かりませんでしたが、その後「宇宙年代記」を乱読した後、何となく光瀬龍の真髄が解かった気がしました。「東キャナルシティー」「アマゾン砂漠」「シンシヤ遊水池」「ユイ・アフテングリ」著の「星間文明史」なんといい響きなのでしょう。最近になって年代記物を読み直しています。その中の「東キャナル文書」の一節を長いですが引用します。『遠いどこかの無人の砂漠で音もなく砂がくずれた。そこにたたずむ影は二度とかえらない時に浸って風の音を哀しみの唄とする。その滅びに至る道は始めもまた終りもなくそこにたたずむ影は過ぎ去っていったものの形骸に溶けて惑星の歴史を閉じる。』 光瀬節と言われる名調子ではありませんか。もっとも前後の文脈から何故このような難解な文章が入るのか、読解力のない小生にはやはりサッパリわかりませんが。書架の奥に茶色に変色した三部作などのハヤカワ文庫を引っ張り出して光瀬SFを楽しみます。
    • 石野陽治
    • 2008/09/04 10:31 PM
    >石野陽治さん
    ありがとうございます。
    いやしかし書評などと言えるものではございません。四年くらい前に書いたもので…雑文で申し訳ありません(汗)。
    「宇宙年代記」は本当に僕も好きですね。確かに文章は難解な部分もありますが、こと光瀬龍に関して言えばその難解さが実に心地いいと申しますか、その光瀬節にいつの間にか引きずりこまれてしまうのです。引用していただいた「東キャナル文書」も本当に名調子だと思います。その描写に思わず震えますね。
    こういう天才がSFを選んでくれたことを喜びたいと思いますねー。僕もまた読み返したくなってきました。
    私も約三十年余前 光瀬 龍さんの作品をいっぱい読みました。特に『百億・・』にははまりました。それより数年前まだ高1の時『2001年宇宙の旅』を見て当時の内外映画の特撮をはるかに凌駕したコノ映画に魅了されました。製作費は当時のレートで90億円とか。ただ難解で本屋に原作を探しに行ったことを覚えております。小説は映画ほどは難解ではなかったですが。もともと理系の傾向にあったので以後SF小説が大好きになり、クラークをはじめ、内外SF作品は多く読みました。『2001年・・』は当初『宇宙のオデッセィ2001』と言う原作を和訳したものでハードカバー、表紙に宇宙船ディスカバリーの写真がなければ見過ごすところだったです。何年してSF作品の多い早川文庫の列を見ていたら『百億の・・』が目に入ってきました。日本産だしやはり向こうものとは・・など思いながらも変わった表題が気になり手にとって立ち読み・・たちまちこれはただもんではないと察知?しすぐに購入、その後はまり込みました。一回読んだ本を読み返すことはほとんどないのですが、これだけはなぜか繰り返し読みました。一時は暗記するほどでした。そしてもしこれをキューブリックが完全映画化したらどんなになるか。製作費はどのくらいかなど具にもつかないことをかんがえたものです。漫画では阿修羅は少女、映画化するにはキャストをどうするか、オリハルコンは何を使うか、なんてもうほとんど百億おたくになってました。懐かしい思い出です。
    • 高橋 秀光
    • 2009/07/25 3:10 PM
    >高橋秀光さん
    ありがとうございます。今自分の記事を読み返して「5年程前に惜しくも亡くなられ」と書いていますがもう今年で10年になりますね、亡くなられてから。
    「百億」には僕も相当はまりました。しかし映画化は難しいでしょうね。今ではCGというものがありますが、なかなか具象化しにくい場面が多いでしょうから。僕は阿修羅の登場シーンが非常に好きなんですけれど、オーロラが空に煌く廃墟、地平線の向こうで様々な光が飛び跳ねる惨憺たる戦場を借景として、悉達多が凛然として立つ阿修羅王を見る、その比類なき美しさをどう表現すればいいのか。
    僕も紛うことなきオタクですが(笑)、オタクは自分の脳内だけで理想の映像を作り上げてますから始末に負えません(汗)。
    光瀬龍は、私の父親ですよ
    • みいちゃん
    • 2015/12/06 9:28 PM
    >みいちゃん
    ありがとうございます。そのような方にご覧いただいたとは、恐縮の極みです。
    なにぶん10年以上前に書いた記事で、言葉が足りていません。文字通り拙文で、申し訳なく思っています。
    • 凛太郎
    • 2015/12/12 6:18 AM
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    通りすがり・暇人・名無しなどの呼びかけにくいHNはご遠慮下さい








       
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