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    「からい」と「しょっぱい」4

  • 2013.06.23 Sunday
  • さて、「からいとしょっぱい」の話が長々と続きました。最初は2010年に書いた記事で、それから3年経ってと補足してきました。これで一応最後にします。と申しますか、これは補足ではなく雑感です。

    この話は「からい」文化圏である京都生まれの僕が、東日本の人に「塩味をからいとかややこしいからヤメロ、しょっぱいという正しい言葉をつかえ」と言われてカチンときたのがそもそもの発端でした。
    この流れからは、からいのほうが古い言葉だから伝統を重んじろ、しおはゆいならともかくしょっぱいなんて訛りは日本語の乱れだからヤメロ何が正しいだ、と僕が言うこともできますし、また言葉は変化するものであり使用して便利なように変わってゆくべきだ(だからしょっぱいをつかいなさい)、ということもできます。
    これは、まあどっちもどっちですね(笑)。ら抜き言葉論争と似てます。ら抜きは日本語の乱れだ、いや受身可能自発尊敬から可能だけを取り出したら抜きは日本語の進化だ、みたいなね。

    僕個人としては「しょっぱい」という言葉そのものに、どうも違和感があるんです。それはまず促音のせいですね。
    関東弁は促音が多い。
    「しょっぱいっていっちまった方がいいじゃん」と「からいていうたほうがええやん」の差かなあ。
    また「っぱ」という弾けるP音が強すぎる感じがしましてね。だから「しおからい」という意味以上のものを感じるんです。強調しているような。塩分濃度は「しょっぱい>からい」印象。
    そもそも促音化語形というのは、強調を伴うんです。「あはれ」が強調されて「あっぱれ」になった如く。だから「しょっぱい」を語気強く感じるのも、そんなにおかしな感覚ではないとも言えます。
    京女である僕の母親は「酸っぱい」もつかう頻度が低く「酸い」と言います。正確には「すいぃ」と母音を強調するような感じ。
    そんな感じで、僕は「しょっぱい」はどうしても慣れないのでつかえません。多分死ぬまで塩味は「からい」かなぁ。

    さらに「からい」という言葉について調べて、いろいろ思うことがありました。
    つくづく「からい」という言葉はマイナスのイメージであると。
    万葉集の「昔より言ひけることの韓国のからくもここに別れするかも」という歌が用例としてよく挙げられていましたが、この「からく」は、つらいという意味ですよね。
    源氏物語もよく用例となっています。「懸想人の、いとものげなき足もとを見つけられて侍らん時、からくもあるべきかなとわぶれど(夕顔)」「あまたの人のそねみを負ひ、身のため、からき目を見る折々も多く侍れど(明石)」
    からきことは、つらきことでありむごきことなのです。ふぅ。
    今でもそりゃ「甘く見てるとからいめにあうよ」「点数の付け方がからい」なんて言い回しは確かにあるものの、あまりむごいとかひどいとかの意味で「からい」を多くつかいません。
    しかし昔は「からい」だった。むごいもひどいも漢字にすれば「酷い」ですが、平安時代の新撰字鏡ですと「酷=からい」です。つらいは辛いで、からいと同じであることは今もその通り。
    歴史的には、塩味の「からい」があって「つらい・むごい・きびしい・ひどい」なんて意味が生じたのか、それとも逆なのか、あるいは同時期に育っていったのか、それはよくわかりません。しかし塩味が「からい」ならば、塩味は日本では悪い意味なんですよ。それは言えるのではないでしょうか。
    それは、味覚において「あまい」と「うまい」が同語源であるとされることからも頷けます。「あまい」は基本的には良い意味を示します。甘い新婚生活には幸せの香りが。一部「脇が甘い」などの言い回しはあるものの、それは「厳しさに欠ける」という部分から派生していて、やはりあまい自体は厳しくなく緩やかで快いんです。さすれば、対義語であるからいは、やはりマイナスでしょう。
    そうだとすれば、ピリ辛に「からい」が充てられてきたのもわかるような気がするのです。ピリ辛は、味覚ではなく痛覚です。舌を刺すような痛み。それはやはり、感覚として「からい」なのでしょう。
    酸が「からい」もわかります。魏志倭人伝には日本人は「橘」も食べないと書いてありますし、みかんもないから柑橘酢は無い。穀物酢が中国から渡来したのは4〜5世紀頃とされます。他に梅干や鮒寿司など酸味食品が発明されるまでは、酸っぱいものといえば、わずかに採集される漿果類の他は、腐敗しているものだったかもしれません。舌にも刺激が。これは、やはり負の食べ物であり「からい」なのでしょう。
    負を意味する「からい」という形容詞。それで古来より表現される塩の味。どうしてなんでしょうかね。この塩味の負のイメージは。日本人は、塩が嫌いなのか。
    塩というものは、人間が生きていくうえで必要不可欠なもののはずです。それなのにどうして。

    日本人は古来、塩にはあまり苦労してこなかったという歴史があるからかもしれません。
    日本は、島国です。海が近い。塩は、いくらでも手に入る立地条件で過ごしてきました。後世「敵に塩を送る」なんて言葉も生じましたが、ありゃ特殊例です。いかに甲斐が内陸といっても、世界的にみればたかが知れています。チベットやカザフスタンやコンゴやパラグアイは、どれだけ海から離れているのでしょうか。
    こういう場所では、塩は岩塩を採掘するか、交易に頼るしかありません。塩は貴重なもので、サラリーの語源となっているほどです。貨幣代わりに塩。そうなれば、過度な塩分をとるという経験をすることはほとんどないでしょう。
    日本人は漁労を生業とします。海で溺れればイヤというほど塩水を飲みます。海の水は濃くて喉を刺します。キツいですね。これが「からい」の原点でしょう。
    塩が貴重な地域では、喉が焼けるほどの塩を摂取する機会などなく、さすれば塩にマイナスイメージをもつことなどはなかったと思われます。
    石毛直道氏の「食生活を探検する」にはニューギニア高地人との交遊が書かれていますが、石毛氏は彼らに食事をふるまうとき「メシに口がひん曲がるほど塩を入れる」そうです。さすれば、そもそも塩が貴重であるために塩が大量に入っているだけで喜ばれるとか。
    こういうところには「塩からい」「しょっぱい」という言葉はもしかしたら存在しないかも、とも想像したりします。あるいは日本語が「あまい≠うまい」であるように、「塩味=うまい」かも。
    わかりやすく英語で考えても、salaryが給与の意味になったことは前述しましたが、塩味の意味の言葉はsaltyで、独自の感覚語じゃなく派生語ですね。日本語だと「しおい」と言ってるようなものです。
    やはり古代に過度の塩分をとる機会がなく言葉が発生しなかったのかもしれません。sweetの対義語はdryです。saltyじゃない。そしてsaltyも「しょっぱい」ではなく「塩気がある」くらいの訳でいいくらいとも。
    saltは料理そのものの名称に入り込んできます。ソース(sauce)とサラダ(salad)はよく知られます。塩=料理であるともいえます。
    素材をおいしく食べるために必須であるものが塩。また金としての塩。完全にプラスイメージです。
    島国日本ならではの、負の塩味「からい」なのだなあとつくづく思います。
    日本語では「塩を嘗める」という言葉がすなわち「辛酸を嘗める」こと、「世間に出てつらい目にあう。苦労をする」という意味になります。
    新語である「しょっぱい」にすら、「弱い」「情けない」「つまらない」などの意味が付随してきています。これは相撲やプロレスの隠語からの発祥(負けて土俵の土を舐める→塩を大量に撒いた土俵は舐めればしょっぱい)ですが、塩味へのマイナスイメージが根底にあったからこそ、生じてきたものなのかもしれません。もはやDNAレベルかもしれません。

    「からい」と「しょっぱい」については、今はおたがいに尊重しあおうという立場でいいのではないかと思います。例えば「ヤバい」みたいに意味が変わってしまったわけではなく、そんなに目くじらたてる必要が無い。「おいしい」と「うまい」が共存できているように、両方あってもいいのでは、と思います。
    自分"だけ"が正しい、という驕りを双方持たなければ、喧嘩にはならないはずですから。
    時間の問題かもしれませんがね。現在「しょっぱい」は辞書的には関東方言ですが、これだけ関東・東京が全国発信の力を持てば、もう100年もすれば「しょっぱい」に統一される可能性が高い。既に「しおはゆい」という言葉は失われていますが、100年くらい前はおそらくまだ存在していたのですから、駆逐されるのは案外早いかも。
    こんなブログ記事、いつまで残ってるかわかんないしねぇ…。でも今は、一応ネットに置いておこう。

    3年前に「しょっぱいという正しい言葉をつかえ」と言ったおっさんは、じゅっぷんは間違いだじっぷんと言え、とか、「おられる」は敬語として間違っている、とか様々なことを言い出し「日本語の乱れ」だと自分が思う言葉を見つけてはあげつらい、注意して得々としているという性格が矮小な人物で、僕はホントこの人がキライだったのですが、よくストレス解消のためブログネタにしました。この人は僕よりも平たく言えば偉い人でしたから、つまり僕は絶対にブログで顔出ししたり身元バレしたりすることは許されないわけです(笑)。
    それからしばらく経ちまして、この人と僕とはもう話をする機会はなくなりました。まあ人事異動と言えばわかりやすいかな。
    それは良かったのですが、どうもそれ以降僕は、若い人がつかう言葉をネタにしているような気がします。「ダイビンなんて重箱読み」とか「好き嫌いはイナメナイ」とかはおかしいぞ、と言ってみたり。年をくったんですかねぇ(汗)。

    長くなりましたが、「からい」と「しょっぱい」の話を終わります。
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    | 2013/06/23 | 言葉 | 10:54 | comments(0) | trackbacks(1) |

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    | 2016/12/30 | - | 10:54 | - | - |

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    明確に上下を分けることを幼い頃から刷り込まれているのと同じことだし一つ年齢が違うとだともう近付き難いなんて日本だけだよこんなことに気付ける天才の俺が相手が年上だからってだけの理由で敬語を使わないとアホ扱いされる日本は狂ってる
    • びぶ速VIP▼☆▲
    • 2013/08/14 9:07 AM

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