スポンサーサイト

  • 2016.12.30 Friday
  • 一定期間更新がないため広告を表示しています



    | 2016/12/30 | - | | - | - |

    同詞異曲のうた

  • 2012.11.25 Sunday
  • 丸谷才一さんの遺稿である「茶色い戦争ありました」を読みました。
    その感想はともかくとして(政治的になりそうなのでやめますが、いいはなしでした)、僕は先月虹を見た記事を書いて以来、中原中也と丸谷才一が頭の中をいったりきたりしていて、いろんなものを読み返したりしているのです。
    それに加え、友川かずきのうたもやっぱり折にふれ心の隙に流れ込んでくるのです。(youtube)
    なんとも刻みつけてくるうたですね。友川さんのうたはみんなそうですが。
    友川さんのこのうたは、中原中也の詩「サーカス」に曲をつけたものですが、その「茶色い戦争ありました」という言葉を含むこの詩は、なんともいえず心に残る詩です。
    手持ちの中也詩集の年譜を見ますと「サーカス」は昭和4年の発表で著作権的に問題ないので、全文書き写そうかとも思いましたが、青空文庫にもありますので手抜きしてリンク張ります。「山羊の歌(3篇めがサーカス)」

    で、ここからが本題なんですが、この中原中也の「サーカス」に曲をつけて歌った人は、友川かずきさんだけではないのです。小室等さんも作曲されています。「まるで六文銭のように」のアルバム「はじまりはじまる」に入っています。(youtube)
    僕はこのアルバムを購入したときに初めて小室さんの「サーカス」を聴きまして、あれ?と。既に友川さんのやつは知ってましたので。
    どっちが先か、という話は無意味で、曲も聴く人が好みでセレクトすればいいのですが、この「歌詞が同じで曲が違う」うたにちょっと面白さは感じましてねー。こういうのって、珍しいんじゃないの、と。
    同じ曲に違う歌詞が乗っている、という逆パターンなら星の数ほどあると思うんですよ。そもそも外国曲を翻訳などして日本語で歌えば、全て異詞同曲ということになりますし。また外国曲に日本語をはめる場合でも、例えば「リパブリック讃歌」などは「おたまじゃくしはカエルの子」とか「ごんべさんの赤ちゃんが風邪ひいた」とか「ひとりとひとりが腕組めば」とかヨドバシカメラのうたとか、無数にあらわれてくるような。また詞がない外国曲でも、「エリーゼのために」が「情熱の花」と「キッスは目にして」になるようなパターンも。
    日本発のうたでもたくさんありますよ。最近だと「明日への扉」とか。僕は以前村下孝蔵さんの「松山行きフェリー」について書いたこともあります(→記事)。
    だいたい替え歌というのは、そうやって成立するもんですから、無数にあると言っていいのです。
    ですが、曲のほうが違う、というのは、そんなには思い浮かばないんですね。

    この同詞異曲というパターンにおいて、日本の歌曲での代表に童謡「砂山」があります。
    「海は荒海 向こうは佐渡よ すずめなけなけ もう日は暮れた みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ」
    北原白秋の詩ですが、これに中山晋平と山田耕筰がそれぞれ曲をつけました。中山ver.(youtube)と山田ver.(youtube)と。今は知りませんが、僕の子供の頃の教科書には両曲並べて提示してありました。
    wikipediaをみますと、他バージョンもあったようですね。wikipediaはこういう同詞異曲について「珍しいことではな」い、と書きつつも
    「通常これらの曲のうち1曲だけが人気を獲得し、それ以外は歌われなくなり忘れ去られてゆくことがほとんどであり、2曲が現在に至るまで歌い継がれているのは非常に珍しい例といえる」
    としています。そうだよね。あまり思いつかないもの。競作、ということで作られることはあるのでしょう。しかし勝ち残るのはたいてい1曲です。歌謡曲などにおいても、レコーディング段階で振り落とされることは多いのでしょう。

    競作ではなく、同じ作曲者が作るということも。
    中島みゆきさんに「孤独の肖像」といううたがあります。アルバム「miss M.」所収(youtube)。この曲はアルバムからの先行シングル曲ともなった有名な曲ですが、この曲には実は原曲があり、アルバム収録にあたってイメージ統一のためか何と「詞を生かし曲を書き換えた」ということです。そしてその原曲はいったんお蔵入りになり、それから8年のちにアルバム「時代-Time goes around-」に収録されました。タイトルは「孤独の肖像1st.」としています(youtube)。つまりこれで世の中に歌詞が同じ「孤独の肖像」といううたが2曲出たことになります。
    当然どちらも作詞作曲中島みゆきですから、同じ作曲者が2バージョン作ったと。そういう事例も、あるんですなあ。
    井上陽水の「あかずの踏切り」は有名でしょうか。これ、3バージョンあります。最初にライブLP「もどり道」のもの。そして有名な「氷の世界」バージョン。しかしこのアップテンポのやつは星勝さん作曲なんです。そして最後に「あかずの踏切り'76」。これ、ライブLP「東京ワシントンクラブ」所収でCDになってないので聴くのは難しいかも(youtube)。

    さて、同一作曲者が幾パターンか作ったという例で興味深いのに、樋口了一さんの「1/6の夢旅人」があります。僕のような水曜どうでしょうファンならすぐさまこの事例を思い浮かべるでしょう。ワシはプライベートなら必ずカラオケで歌います。もう大好きで。
    「1/6の夢旅人」は最初、どうでしょうの応援歌として作られました(youtube)。ですが、当時は「水曜どうでしょう」は完全に北海道のいちローカル番組であり、樋口さんも「そのときだけのための」刹那的なうたとして作った様子があります。とくにCD化も予定されておらず。
    しかしこの曲はいい曲なので、もったいないと思ったのか樋口さんは曲だけをV6のシングル「Be Yourself!」のカップリング「always」として提供しちゃうのです(youtube)。だってV6のシングルなら儲かるもん(笑)。ここでまず異詞同曲が誕生するのです。
    しかしこのことで権利関係という問題が生じ、「どうでしょう」での1/6の夢旅人の使用に支障をきたすようになってしまいます。
    この問題をクリアするため、樋口さんは新たに、詞をそのままに曲を書き下ろします。これが「1/6の夢旅人2002」です(youtube)。同詞異曲の誕生です。
    こうして異詞同曲と同詞異曲が同じ流れの中で出てくるというのは、面白いですね。

    この他に、僕は「島を愛する」「正調島を愛する」の同詞異曲も思い出すのですが、こんなの礼文島に連泊したひとしか知らないでしょうしねぇ…。(そう思いながら探したら何と初音ミクが歌ってる!→これ)

    外国曲ですぐに思い浮かぶのは「野ばら」です。ゲーテの詩は、日本語にも訳されています。
    「わらべは見たり 野なかのばら 清らに咲ける その色愛でつ 飽かずながむ くれないにおう 野なかのばら」
    僕がすぐに思い浮かぶメロディは、ウェルナーのそれです(youtube)。しかし世界的には、シューベルトのそれ(youtube)がもっとも人口に膾炙しているようです。このゲーテの野ばらには、ベートーベンやシューマン、ブラームスなども曲をつけ、一説によれば100曲を超えるとも言われています。
    世界に目を向ければこういう話はやまほどあるようで(魔王やアヴェマリアとかね)、ひとつひとつは書けないのですが、前から少し気になっていたうたに「スカボロー・フェア」があります。

    スカボロー・フェアはご存知の通り、サイモン&ガーファンクルの名曲として世に知られています。3枚目のアルバム「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム」(1966年)に「スカボロー・フェア/詠唱」として収録されています。

      
      Simon & Garfunkel 「Parsley, Sage, Rosemary and Thyme」(youtube)

    映画「卒業」の挿入歌として広く世に知られました。上リンクの音源には「詠唱」の部分ももちろん入っていますから、純粋なスカボロー・フェアだけのものも。セントラルパークのS&Gです。(→youtube)

      Are you going to Scarborough Fair?
      Parsley, sage, rosemary and thyme
      Remember me to one who lives there
      For she once was a true love of mine

    このうたは、英国に伝わる一種のわらべうた、民謡であることは有名だと思います。こちらのサイトの「スカボローフェアの謎」が詳しいので参照していただきたいのですが、もともとはイギリス民謡を源流とし吟遊詩人により口伝えで広められたバラッド(旋律のある口承説話)でした。「エルフィンナイト(wikipedia)」というバラッドだとされます。
    それをフォーク歌手マーティン・カーシーが採りあげてアレンジし、カーシーと出逢ったポールサイモンが現在のかたちにした、ということのようです。マーティンカーシーのスカボローフェアはこちら(→youtube)。よりトラディショナルな雰囲気が漂っていますね。

    さて、スカボローフェアには、僕が知るうちではもうひとつのバージョン、つまり異なるメロディがあるのです。
    このうたは口承から始まったものであり、様々な歌詞やメロディがあって当然だと思います。そのことに不思議な思いは抱きませんでした。僕が知るスカボローフェア別バージョンは、高石ともやとザ・ナターシャーセブンの「107ソングブック」VOL.6マザーグース編に収録されていたものです。
    詩は、ともやさんが訳したのでしょう。日本語でした。

      スカボローフェアへ行くのなら
      パセリ セージ ローズマリー エンド タイム
      伝えておくれ この想い
      美しいあの人へ

    メロディは、S&Gバージョンよりももっとトラッドな感じです。英国民謡ふうの匂いが強く、なかなかこれがいいのですね。僕は中学生のときにこれを聴いていますので、S&Gバージョンとずっと並行して認識していたと言っていい。
    同詞異曲のうたということで、僕が真っ先に連想したのが実はこのスカボローフェアでした。
    ナターシャーの音源、ともやさんの声でなくても別に問題はなく、違うメロディのものであればむしろ英語のほうがいいだろうと思い「Scarborough Fair」で検索をかけました。海の向うには、いくらでももうひとつのメロディは転がっているだろうと思って。古謡なのですからね。楽曲だけなら著作権の問題もないでしょうから。
    ですけど、これがなかなか出てこないのですね。ケルティック・ウーマンはじめ、ほんとうに様々なミュージシャンがこのスカボロー・フェアを歌っているのですが、みんなS&Gと同じメロディで。やはり世界的に大ヒットしたバージョンは強いのか。僕はシロートさんがいかにも「upしました」みたいなものまで「Scarborough Fair」であれば聴いてみたのですが、なかなか当該メロディはあらわれてくれず。
    探してやっと見つけたのは、なんと日本のアーティストのものでした。「VITA NOVA」というユニットのものです。

      
       VITA NOVA「ancient flowers」(youtube)

    わはっ、これ、良すぎる!(笑)
    僕はメロディだけを探していたのですが、めちゃくちゃ佳曲にアレンジされたスカボローフェアに出逢うことができました。この民俗音楽テイストがたまらん。
    調べるとこの「Vita Nova」は吉野裕司氏を中心としたプロジェクトで、何とこのアルバムは1996年に出ています。全然知りませんでした。久しぶりに購入意欲がわくモノを聴きましたよ。

    それはともかく(汗)、僕が知るスカボローフェアのもうひとつのメロディとは、こんな感じです。 
    わかりませんけど、もっといくつものメロディが存在しているのかもしれませんね。伝承音楽の世界のことですから。
    そのひとつとして、前記サイトには「もう一つのスカボローフェア」と題して、何とあのボブ・ディランがやはりあのマーティン・カーシーからスカボローフェアを伝授(?)されていたことが記されています。これには驚きました。全然知りませんでしたから。
    そのうたは、「Girl From The North Country(youtube)」です。
    聴いてみますと、確かに「Remember me to one who lives there/She once was a true love of mine」と歌っています。これもひとつのスカボローフェアですね。パセリとかセージとかの呪文は省かれているようですが。このメロディは「エルフィンナイト」のものなのでしょうか。それとも…。
    いずれにせよ、同詞異曲のひとつであることは間違いないようです。しかもS&Gより前のリリースです。へー。

    長くなりましたのでとくにオチもなく終わりますが、いろいろ知ることができて面白かったっす。リンクだらけの人の褌で相撲をとりまくった話でしたが(汗)。
    このエントリーをはてなブックマークに追加 Check


    | 2012/11/25 | 音楽 | 18:06 | comments(6) | trackbacks(0) |

    スポンサーサイト

  • 2016.12.30 Friday
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 Check


    | 2016/12/30 | - | 18:06 | - | - |

    コメント
    友川かずきさん、先日テレビで見ました。魂の叫びのような歌声。私には懐かしい東北訛り。叔父を思い出しました。一度ライブに行きたいな。

    中島みゆきさん、♪孤独の肖像は1stの方が好きですよ。ヒット路線ではないかもしれませんが、泣けます。
    みゆきさんには、さださんと一緒に同じ曲を同時に違う歌詞で歌う♪あの人に似ているという曲もあります。

    異詞同曲で、思い出すのは谷村新司さんの♪浪漫鉄道です。途上編と蹉跌編がありますね。
    ちんぺいさんが♪誘惑、バンバンが♪黄昏物語として出した曲も異詞同曲です。
    余談ですが、ちんぺいさんは○○編が好きらしく、♪愛と♪愛地獄編を作ってます。

    省吾の♪雨の日のささやきも別の歌詞があり、明菜ちゃんも♪ミ・アモーレと赤い鳥逃げたが異詞同曲ですね。

    凛太郎さんの記事を読みながら、自分が聞いていた歌のジャンルの狭さを感じました。
    洋楽はちっとも浮かびませんでしたから。

    凛太郎さんの記事のおかげで、忘れかけてた歌も思い出せてよかった。

    ネット調べながら(笑)書いたので、3回も書き直しました。
    いやはや、自分の記憶力の衰えは凄まじい勢いだと…。
    とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。
    >アラレさん
    遅くなりました。おまけにお手間かけました(汗)。
    こういうのって、ネットで調べにくいんですよね。僕も、他にもたくさんあるかもしれないと思いつつ、自分の引き出しだけが頼りで。ただ思いつくだけのものを並べたにすぎません。音源の貼り付けは頼りましたが。
    だから「同詞異曲は珍しいんじゃないの」と書きつつ、ざらにあったらどうしようという不安は今もあります(笑)。
    僕も、孤独の肖像は1stのほうが好きですね。
    異詞同曲は、けっこうあるんですよね。言ってみれば、替え歌ですから。
    「誘惑」と「黄昏物語」懐かしいですね。せーいーふくを〜ぬいだぁむぅねのぉ〜 やっぱりエロいな(笑)。
    僕もリスナーとしてはとくに手広く聴いているわけでもなく、洋楽はことさら狭い。クラシックも聴いているようで聴いてない。「ウェルナー」なんて方は野ばらしか知りません(汗)。
    しかし「フォーク」というジャンルはこの世代にしては比較的聴いているほうかもしれません。全て深夜放送の影響ですが。
    友川かずきさんとの出会いもその頃でした。ただ、この方の知名度は低いように見えて、意外なところで知っている人がいて驚いたことがあります。何でも「金八先生」に出ていたとか。僕は前にも書いたように金八先生を見たことがないので状況はよくわからないのですが、アラレさんならご存知かもしれません。武田鉄矢氏が引っ張り出したんでしょうかねー。
    >株の勉強さん
    ありがとうございました。またお寄りください。
    友川さん、この前、テレビ出演した時に金八先生に出演したシーンが出てました。何でも脚本家の息子さんが好きで、ぜひ出演をと頼んだそうですよ。

    誘惑の歌詞、確かにエロい(笑)
    制服に隠された部分にときめくのは、男子の悲しい性かしら?

    同曲異詞と書くと何だか格調高い感じがしますが替え歌と書くと、急に砕けた感じがするのも面白いですね。
    なぜか、替え歌と聞くと、♪たんたんたぬきの…が浮かぶ私って…?(笑)
    • アラレ
    • 2012/12/08 5:08 PM
    >アラレさん
    なるほどそうですか。で、ここで僕もググってみたんですが(もっと早く探せよ、て話ですが^^;)、アップしてくれてる人がいましたね。
    http://www.youtube.com/watch?v=hjXyx86ElZY
    なるほどね。これならば、同世代に知ってる人がいても不思議ではないなと。一度聴けば、この人のうたは印象に残るでしょうから。
    同詞異曲とか異詞同曲なんて言葉が実際あるのかどうかは知らないのですが(別に造語でもないとは思いますが)、平たく言えば替えうた、替えメロですわな(笑)。気取ったつもりもないのですが、替えうたはともかく、替えメロと言って伝わるかどうかわかんなかったので表記の言葉を使いました。
    ところで「たんたんたぬきの〜」ですが、様々なバージョンがあるようで。
    http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/tantantanuki.html
    地方によっていろいろですなぁ。
    そ〜れをみていた…まではだいたい共通しているようです。ちなみに僕の場合(京都市・昭和40年代)ですと、
    そ〜れをみていたメスダヌキ/私もあんなのほ〜しいな〜
    でした(笑)。
    コメントする
    通りすがり・暇人・名無しなどの呼びかけにくいHNはご遠慮下さい








       
    この記事のトラックバックURL
    言及リンクのないトラックバックは受け付けません ごめんなさい
    トラックバック

    CALENDER

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << June 2017 >>

    CATEGORY

    ANOTHER BLOG

    メインブログ
    酒・旅・フォーク・歴史・プロレスをテーマにときどき更新


    ちょっと歴史っぽい西宮
    別館・西宮歴史探訪サイト
    凛太郎の自転車操業
    西宮地域ブログ

    PROFILE&BBS&MAIL

    自己紹介です。
    BBS
    掲示板です。
    Mail
    メール送信フォームです。

    NEW ENTRIES

    SEARCH THIS SITE.

    ARCHIVES

    RECENT COMMENTS

    RECENT TRACKBACK

    BLOG PARTS


    RECOMMEND


    MOBILE

    qrcode

    SPONSORED LINKS


    OTHERS


  • フィードメーター - 凛太郎亭日乗


  • ついったー




  • 無料ブログ作成サービス JUGEM