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    卵焼き論争

  • 2009.01.31 Saturday
  • 「甘い卵焼きなどお菓子だ!」

    僕の先輩でそう言い切った人が居て、その時の居酒屋でちょっとした「卵焼き論争」が巻き起こったのです。仕事の話なんぞしているよりずっと健全ですな。
    ところで、こういう話は僕は大好きなのですが、今回は傍観者です…。

    しかしまあ、卵焼きについての話は、うなぎ蒲焼を蒸す蒸さない、また肉じゃがは牛肉か豚肉か、などと同様、もう言い尽くされた話題ではあるわけです。「NIKKEI NET」を見ましてもはっきりと色分けされています。砂糖を入れない卵焼きというのは、近畿地方を中心とした西日本に限定されていて、しかも主流ではない。日本では全般的に見て「卵焼きは甘いもの」と捉えてもさほど問題ないのでは、ということです。でもそこは三つ子の魂百まで、甘い卵焼きなんか認めない、という頑固な関西人はいっぱいいるわけです。だもんで、皆熱くなるんですねぇ。

    ところで、何で傍観者かと申しますと、僕は関西人でしかも京都生まれ。引用の「NIKKEI NET」ですと、京都の卵焼きは甘くない味付けの割合が日本一高い場所です。何と95.8%。昔と違って転勤など様々に人の入れ替わりが激しいご時世に、この数字は驚異的であるとも言えます。当然「甘い卵焼き断罪」の仲間に入ってしかるべきなのですが、僕の母親が作る卵焼きは「ほんのり甘かった」のです。おかんは生粋の京都人であり、親父は東京生まれであるというものの、卵焼きの作り方に妥協した形跡はないのです。これは、以前おかんに確かめたことがあります。「おばあちゃんが作っていたのと同じように作ってる」これが答えでした。
    なので、「砂糖を入れない関西人」軍団と「卵焼きは甘いもの日本各地」軍団のどちらに与することも出来ず、ぼんやりと話を笑いながら聞いておりました。

    しかし、卵料理などは本当に味覚の根源的なものですね。しかも幼児期に刷り込まれた舌の記憶からはまず逃れられない。聞いていると、様々な作り方があるようです。おっさんばかりの席でしたからどこまで正しいのかは注釈つきになりますが、「うちは砂糖と醤油だ。みりんも入れたかも」「醤油入れたら真っ黒になるだろ。塩が正しい。みりんも焦げやすい」「うちは塩とコショウだ」等々。醤油も淡口醤油が関西にはあるわけで別に真っ黒になどなりませんし、塩と胡椒で味をつけたものなど、オムレツとどう違いがあるのか全くのところ分からないわけで、胡椒を使用した時点でもうそれは和食ではないだろう、と僕などは思うのですが、いらんツッコミをして「じゃあんたのところは?」と言われても困るので黙っておりました。
    ただ、「出汁はカツオを使うのかそれとも…」と僕が言いますと、「ダシを入れたら出汁巻卵で、それはまた別」との意見がありました。なるほどそうか。
    僕は卵焼き=出汁巻き、であると思っていたのですが、世間では卵焼き≠出汁巻き、であるらしい。うーむ。

    僕が子供の頃、母親が作ってくれていた卵焼きのレシピは、以下です。
    まずダシをとる。これは、カツオ節と煮干です。昆布は使用していなかったようです。卵焼きは朝食で、あるいは弁当に入れる機会が多い。なので、基本的には朝に作ります。したがってこのダシは朝餉の味噌汁と兼用、ということになります。
    卵一個にダシは大さじ一杯半か二杯くらいのものだったでしょうか。そして淡口醤油、少量の砂糖で味をつけます。砂糖は卵一個に一つまみ程度、茶さじの先にちょっと、だとおかんは言っていました。さらに少量の酒、そして水溶き片栗粉を加え(片栗粉は酒で溶いていたそうな)、あとは卵焼き器で焼きます。焼き方も、手前に卵汁を流しいれる、また向こう側に流しいれて手前から巻いていく、などの流儀は地方により様々なようですが、そんなのは味に関係ありません。
    母親は、365日、とは言わずしてもうちで朝食を摂るときは必ず卵焼きは欠かしませんでした。だから、自宅で卵かけごはんであるとか、目玉焼き、オムレツなどを食べた経験が僕にはあまりありません。卵焼きが完全に朝食の定番だったと言えます。焼きたての卵焼きのふんわりとした香りは実に食欲をそそるものでして、僕も完全に刷り込まれて育ちました。

    所帯を持って後、カミさんが台所を宰領するようになって、卵焼きを作って出してきたときは、僕もどうしても抵抗がありました。カミさんは東北生まれであり、僕にとっては非常に甘辛く、歯ごたえのある卵焼きを作ったからです。
    僕は食べ物の地方色には普段から寛容で、東京はうどんの汁が黒いだの北海道の甘い赤飯は許せないだの九州の醤油は甘いだの、そういうことには全く引っかかりません。土地柄っつーもんがあるでしょう。
    これは外食だけではなく家の食卓でもそう。カミさんの作る東北の郷土料理も喜んで食べていますし、もっと根源的なことで言えば、味噌汁を京都では赤味噌と白味噌を合わせて作りますが、カミさんは義母さんお手製の濃く塩辛い、ちょっと渋めの味噌だけで作ります。しかし、僕はそういうのもアリだと思って受け入れました。これも慣れれば美味いものです。
    ですが、卵焼きだけは妥協できなかった(実際はもうひとつ茶碗蒸しも妥協出来なかったのですがそれはさておき)。なので、

    「僕が卵焼きを作るさかいに。これ食べてみて、美味いと思たら以後これでやってくれへんか」

    と、自ら作ってみました。まず卵からカラザをしっかりと取り、徹底的に攪拌。

    「そんな混ぜたら卵のコシが無くなってうまくまとまらないじゃないの」
    「だから片栗粉をいれるんやんかいな。ワシは白身と黄身がダンダラのまま焼き上がっているのが許せんのや。ここはしっかり混ぜる。ホンマは漉したいくらいや」

    そうやって、焼きたてをカミさんに食べさせてみました。

    「おいしい…。ワンランク上ね、これは」
    「よくぞ認めてくれた(涙)」
    「でもダシとかとるのは面倒よ」
    「そこは、粉末ダシの素か濃縮かつおだしでええ。そやから、ダシ入れて、卵は完全に混ぜて、砂糖は控えめにして。水分多めの方がふんわりしとるやろ? あとは任せるさかい。醤油は濃口でも淡口でもどっちでもかまへん。淡口の方がキレイに仕上がるけどな」

    以来、カミさんは好みの卵焼きを出してくれます。有難いことです。
    ですが、卵焼きを外で食べる際には、あまりうるさいことは申しません。毎日食べるものじゃなし。だいたい卵焼きを外で食べることなどそう頻繁にあるわけではありません。
    僕の好みはほんのり甘い、ですが、かなり甘いものも出てきます。一度東京の蕎麦屋「室町砂場」で名物の卵焼きを注文したことがありましたが、蕎麦汁のかえしを使って焼かれるこの卵焼きは、甘さが勝つものの美味い。こういうのは確かに染め下ろしが合います。
    こんな上等の一品はともかく、市販の弁当などに入っている卵焼きは確かにちょっと違う。でも、文句つけるほどのことではありません。面と向かって「こんなのはお菓子だ」などというのは暴論というもので、大人であれば黙っていればいいかと。それを美味いと思っている人に対して不快感を煽るだけです。僕だって、「京都で料理食べたら汁がお湯みたいだったよ。醤油入れたらちょうど良かった」などと言われたら「このアホンダラ」と言ってしまいそうです。それと同じ。
    ただ、卵焼き論争などは酒の席には面白い話題であることは確かです。相手を非難さえしなければいいですな。見聞が広がる、と思えば嬉しい話題ではあります。同様に、「目玉焼きには何をかける」も面白い。各々で絶対に異なりますから。
    それもこれも、この狭い日本で食文化に地方色が息づいていればこそ。何でも画一化のご時世で、せめて食い物くらいはあちこちで違っていて欲しいもんです。

    ところで、毎日卵焼きを作り続けていた僕の母親なんですが、正月だけは近所の仕出屋から卵焼きを買っていました。おせちは全て自分で作っていたおかんでしたが、卵焼きだけはハレの日のために毎年張りこんだのです。これは本当に美味かった。家族中で取り合いになります。
    その仕出屋の大将に聞いてみますと、

    「これはグジ(アマダイ)を焦げんように焼いて、それで出汁とってますんや」

    とのこと。そりゃレベルが違うはずですよ。料理屋の仕事です。素人には真似出来ない出汁巻き卵でありました。もう一回食べたいな。でも、実家も京都から引越し、その仕出屋さんも店を閉めて幻になってしまいました。京都の錦市場で出汁巻き卵専門店が何軒かありますけれども、食べるとやっぱりちょっと違う。どこかで美味いのを持ち帰れるところは無いかな。
    ところで、以前のこと。実家で卵焼きを食べる機会がありました。久し振りのおかんの卵焼きでしたが、僕たちが昔食べていた卵焼きと明らかに違います。もちろん不味いわけではない。それどころか完全にレベルアップしています。なんやねんこれは。

    「あのな、ウチは糖尿の気が出て砂糖使こたらあかんてお医者さんに言われてんのんや。ほんでお父さんは血圧で塩分があかんやろ。そやさかいに、ダシを奢ることにしてんのんや。砂糖も入れんとおしょゆも少しだけ。そのかわり、ええカツオ節たくさん使うねん。時々鯛のアラとかも使うえ」

    鯛のアラですか。ここは料亭かいな(汗)。贅沢になったもんやな。まあ、今は体調管理も大切ですから、糖分や塩分は確かに控えて欲しい。その足りない味の分を「旨み」で補うとは、やはり京女だなと思った次第です。しかしこれは真似出来ないな。日常の食べ物である卵焼きに鯛の骨の出汁なんぞ使う勇気は出ないよ(汗)。
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    | 2009/01/31 | 飲食 | 00:21 | comments(4) | trackbacks(0) |

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    | 2016/12/30 | - | 00:21 | - | - |

    コメント
    凛太郎さん、歯の方はかなり良くなられたようですがその後いかがですか?

    卵焼きのお話を読ませて頂いて、漫画「美味しんぼ」の「目玉焼き」の食べ方の回を思い出してしまいました。
    目玉焼きを両面焼にするか、片面焼にするか、また一個づつ焼くか、二個つなげて焼くか、はてまたできあがった目玉焼きに何をかけるのかなどさんざん議論して最後は自分の好きな焼き方で食べるというお話でした。

    食べ物の味は確かに地域や家庭によって違う。それでも、どうしてもこの味だけは譲れないというのがあるのもわかるような気がします。

    私の場合食べ物ではなくて、住居設備でどうしても駄目なものがあります。
    それはトイレとお風呂が同室にある仕様のユニットバスです。
    ビジネスホテルでは必ずといっていいほどこの仕様で、そこに泊まった場合、お風呂に入るためにはどうしてもこの仕様のお風呂に入るしかないのですが、カーテンを閉めても壁を隔てない場所にトイレがある、というだけでお風呂に入った気が全くしないのです。
    西洋では当たり前のこの住居仕様も、風呂とトイレは別室が当たり前という環境で育った私にはどうしても受け入れがたいものがあります。
    周りの人からは「そんなの気にする人はいない」と言われるのですが、やはり私は風呂とトイレは別室でなければ気がすまない人なのです。

    食べ物から外れた話をしてしまい失礼しました。
    • さがみ
    • 2009/02/01 3:13 PM
    >さがみさん
    ありがとうございます。歯はもう大丈夫です。まだ治療は完全には終わってはいませんけれど、痛くないので余裕でございます(笑)。

    そういえば「美味しんぼ」に目玉焼きの話が確かありましたね。忘れていました。サニーサイドアップなんて言葉はそこで覚えたような…。
    結局、食べ物については根源的な部分はどうしても変わらないのですね。ごはんは固めが好きかやわらかめが好きか、なんてのは絶対に譲れない部分でしょう。
    自分の好みを相手に押し付けさえしなければ、こういう話は面白いのですね。他者否定厳禁であれば。

    ユニットバスについては、慣れませんねー僕も。
    一概に言うのは危険ですが、欧米の方では、風呂もトイレも同様に「排泄行為」であるととらえている場合が多い、という話を聞いたことがあります。身体の汚れを洗い落とすことが一義であり、そこにトイレとの共通点があるので同じでもかまわないのだと。
    我々日本人は風呂を「くつろぎ」と考えますので、これは絶対に相容れないのかなと。ビジネスホテルの狭い場所の活用としてはしょうがないともとれますが、自宅ではイヤだなー(汗)。
    私の両親は東北生まれ

    従って卵焼きは甘いです。
    でも
    柔らかめでした。

    朝食などに出てくる卵焼きは薄めでしたが、遠足や運動会の卵焼きは厚焼きでしたね。
    それがうれしくて自慢で…。

    先日の小学校の同窓会でお母さんがいなかったみちこちゃんが“おばさんのお弁当に入っていた卵焼きが私のお袋の味なんだよ”って言ってくれました。

    小学校一年生の初めての遠足の時、みちこちゃんはお父さんが前日に買ってきたのりまきとおいなりさんの折りを持ってきました。
    私はそれが珍しく羨ましくてとっかえっこしてもらった。
    お弁当は幼稚園の頃から当たり前に食べていたから。

    その話をしたら、母は次からみちこちゃんの分のお弁当も作ってくれていました。

    子供たちにもお弁当には甘い卵焼きは必須アイテム。
    卵焼きのないお弁当はテンション上がらないそうです。
    でも子供たち曰わくばぁちゃんの味噌汁と卵焼きには私はまだまだだそうです(笑)

    高校でもお弁当の卵焼きを友達にあげた息子は“これはスィーツじゃん”と言われたそうです。

    甘くない卵焼きの話は関西人の友達から聞いていますがやっぱり作る気にはなれません。

    今、娘が作る卵焼きが私の味になってきています。

    卵焼きは母の味

    まさにその通りです。

    卵焼きに並んで我が家の伝統的なお弁当のおかずに
    ピーマンと人参の千切りをサラダ油で炒め塩胡椒で味付けたものがあります。

    人参が嫌いだった母が私には好きになるように入れたのが始まり。

    我が家のお弁当には卵焼きとピーマンと人参炒めが入っているもの…。

    これからも続く味でしょう。
    >アラレさん
    いいお話をありがとうございます。こういう話を僕んちのコメント欄に書いてはもったいないと思うのですけど…恐縮でした。
    弁当に入っている卵焼きというものは、実に千両役者ですね。是が非でもあって欲しいもの。それはやはり「母の手作り」であれば本当に嬉しい。大好きな味であるのは間違いないですから。みちこちゃんのお話は胸に刺さるものがありますが、アラレさんとおかあさんの「思い」は伝わったのではないでしょうか。そんな追憶の一場面に卵焼きが色を添える。
    お母様の卵焼きとアラレさんの卵焼き、そして娘さんの作る卵焼き。連綿とした「受け継がれ繋がっていくもの」。そんな話もまた心に残ります。
    しかし「スィーツじゃん」とは生意気な(笑)。

    弁当の話もまた愉しいものですな。どの家にも定番のおかずがある。中島梓氏の随筆に「栄光のササミ弁当」という一編がありましたが、僕もまた項を改めて弁当について書いてみたくなりました。ピーマンと人参炒めもまた愛情の味ですね。
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