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    | 2016/12/30 | - | | - | - |

    加速度

  • 2008.03.16 Sunday
  • 前回の続きです。
    僕は所用で京都に行ったついでに、等持院に足を延ばしたという話でした。そのあたりをウロウロするうちに必然的に隣接する大学の構内に足を踏み入れたのです。
    実はこの大学は、僕の母校なのです。四年間通った青春の象徴。

    大学には、卒業以来ほぼ足を踏み入れることはありませんでした。周りは観光地であり、金閣寺や竜安寺など史蹟名勝がずらり。僕も卒業以来この周辺には何度も来ています。ですが、大学自体には全然入っていなかった。正確には一度、13、4年前に来たことがあります。当時はまだ京都に実家があり(今は両親は隣県に引っ越して家はもう無い)、結婚したての僕は帰省かたがた、妻に「あんたの母校が見たい」と言われて連れてきたことがあります。それ以来。
    正直に心情を言えば、避けていたと言えるかもしれません。前回来たときに、僕はなんだか泣きそうになってしまったのです。甦ってくるものが多すぎて。しかしまだ配偶者になったばかりの女性に涙を見せるほど僕は達観もしておらず強がっていましたので、サラサラと案内をして足早に「じゃ竜安寺に行こうか」とその場を後にしたのでした。
    それからというもの、僕は近所まで来ても門をくぐらなかったのです。

    でも、今回は河田小竜の墓所へ行くために構内に入ってしまいました。
    入ったとたん、様々な思いがフラッシュバックしてくるのを感じていました。次から次へと襲ってくる追憶たち。
    大学は春休みで、学生たちの賑わいはありません。それをいいことに、僕は立ち尽くしてしまいました。思わず声が漏れます。「ああぁ…」と。誰かが見ればヘンなおっさんがいるなと思われてしまうでしょう。誰にも見られていなかったのは幸いでした。

    少し構内を歩きます。学食が開いていました。そういえば昼食をまだとっていなかったことに気がつき(断ったんでした^^;)、フラフラと中に入りました。すると、当時のままのメニューです。20年も経っているのに。時間がここは止まっているのか。僕はあの頃よく食べた鶏カツ丼か竜田丼かどちらにしようかとさんざん悩んで鶏カツ丼を選び、ぽつりぽつりと居る若者に混じって食べました。美味い。舌に郷愁も加味されるからかもしれませんけど。
    どう見ても学生には見えないおっさんのはずなのですが、この場に座っていて自分では驚くほど違和感を感じない。目の前に鏡でもあれば我にかえるのでしょうけれども、その時僕は完全に自分も学生のつもりなのですね。20年の時を超えてしまっている。

    さらに構内を歩きます。20年も経っているのですから多少の衣替えも大学はしていますが、根本的なところは何も変わっちゃいない。
    僕は不審者のようにあちこちを覗きながら歩いていました。

    心のバックグラウンドには、さだまさしの「加速度」が流れています。

      
      私花集〈アンソロジイ〉さだまさし

    このアルバムに「加速度」という名曲が収められています。大好きな曲です。
    なぜ「加速度」なのかと言えば、先般よぴちさんのブログを読んでいたからでしょう。→As Time Goes By「加速度:さだまさし」
    この記事に、よぴちさんがかつて北野天満宮や等持院に旅された思い出が書かれています。いい記事です。僕が等持院を訪れたのも、足利将軍の書籍を読んでいた以外にこのブログ記事の影響もあったのかもしれません。いや「かも」じゃなくてあったんだな。
    さださんについては、以前長い記事を書いたので(→黄昏迄)繰り返すことはしませんが、この人は先日のご当地ソングじゃないですけど、地名をよく歌に織り込んで臨場感を感じさせてくれます。彼の故郷である長崎はもとより、全国各地でうたの足跡を残してくれています。旅人なのだなと思います。もちろん京都のうたもあります。
    「春告鳥」という曲があります。アルバム「夢供養」所収です。この歌はまさに等持院が情景として出てきます。「衣笠の古寺の侘助椿の たおやかに散りぬるも陽に映えて…」

    「加速度」にはそういう情景描写はありませんが、その心象風景にはたまらないものがあります。別離のうたですけれども、甦る思い出とともに奏でられる曲として今の僕にはあまりにも痛切でした。

    学生広場。図書館。生協購買部。駄弁ったベンチ。何もかもが懐かしい。そして、僕が学んだ時計台のある校舎の前。たまらずに入り込みました。咎められれば謝ればいい。階段を上り、勝手に教室のドアを開けて座り込みます。

     スローモーションで時が倒れてゆく 言葉さえ塞いで

    この場所でさまざまな出来事がありました。ゆっくりとした思い出が、急に加速度を増して迫ります。喜びと、そして悲しみと。

     途絶える直前の君の優しさは 最後にピリオド打たなかったこと 
     まるで悲鳴の様に云いかけた「それから」って
     自分の重みに耐え切れず落ちてゆく ガラス窓のしずく

    この教室で、僕は人を傷つけてしまったこともありました。なぜもっと僕は大人になれなかったのだろう。なんで強引にピリオドなんて打ったんだろう。悔恨の気持ち。けれどもそれはもう遠く過ぎ去った情景。決して戻ることは叶わないんだ。
    時間が揺れます。あの頃の自分と、今の、経験を否応なしに積んでしまった自分と。その間でいったりきたりです。こうなることは分かっていたんです。あの頃から少しだけ大人になってしまった僕には。そして、その気持ちを昇華する術も残念ながら今は知っているのです。

    いつまでも思い出に浸っていると不審者として通報されてしまうかもしれません。僕は校舎を出て、そして大学をあとにしました。さて、気持ちを昇華する方法を実行に移さなければなりません。ここらへんは詳しいので、まだ陽が高いこの時間でも冷たいビールが飲める店くらいは知っています。僕が大人になったっていうのは、所詮この程度のことなんだよなぁ(笑)。まあいいや、飲もう。
    そんな休日の出来事でした。
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    | 2008/03/16 | 随感 | 12:43 | comments(8) | trackbacks(0) |

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  • 2016.12.30 Friday
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    | 2016/12/30 | - | 12:43 | - | - |

    コメント
    凛太郎さん
    北野の梅と、等持院の椿が見たくて、訪れるのはいつも春と決めています。BGMはやはり春告鳥ですね。
    立命館の人がどんなに羨ましかったことか。もう少し足をのばして、苔寺もいいな、と思ったり。
    学生時代、人を傷つけたことも、傷けられたことも、すべてが今は懐かしい。
    そして、傷つけたことも、傷つけられたことも、すべてが私の胸の痛みになっている。
    今は、傷つかない術を得て、何に関しても、心の揺れの大きさが少ない。多分、自分で少なくしているのです。
    それは、楽しかったことや嬉しかったことまでもが、こうして、胸の痛みになることが分かってしまったからかもしれません。
    そしてそれは、時間の流れを止めることが出来ない限り、必然なんですね。戻れないから、胸が痛むんだ…。
    こんにちは
    今日は仕事が早く終わったので、ちょっと立ち寄りにきました。
    一般人になっても大学の構内に自由に出入りできるのですね。知らなかった・・・。
    学食や図書館、教室、広場など懐かしい場所がいっぱいです。私にとっても「青春のかけらを置き忘れた街」
    です。
    特に何をなしとげたたというわけではない、ありふれた学生でしたが、あの4年間は本当に今でも私も宝物です。
    時計台のある校舎は以学館でしたか?
    後からできた法学部の校舎がやたらにきれいだったことを今も思い出します。あれから20数年・・・新築の校舎も随分年季が入っているだろうなー。
    是非京都へ出かけたときには私も学生気分をもう一度味わいたいものです。
    またまた懐かしい話しをありがとうございました。
    >よぴちさん
    北野の梅はもう盛りを過ぎようかというところ、これからは平野神社の桜に人は移っていきます。花を愛でるほど風流人でない僕も、心浮き立つ季節です。花を美しいと思うよりも、こうして繰り返し季節が訪れることを慈しみたいと思うようになってきました。これも少しだけ大人になったあらわれであるのかもしれないと思ったりもします。

    よぴちさんの「加速度」にインスパイアされてこんな記事を書きました。勝手にどうもすみません。しかしながらサラリとは書けず、なんとなしに感傷的になりすぎたかとも思います。
    おっしゃるとおり「戻れないから胸が痛む」そして、そうなることが分かってしまっているから、心の揺れを少なくしようとする。大人になるってことは、経験を重ねるってことはこういうことなのかと思いまた当惑します。経験が安全弁を探り平穏で居ようとさせる。言い方を換えれば臆病になるってことが年を重ねることなのかもしれません。
    本当は悟ることが真の大人像なんでしょうけれども、そんなのいつまで経っても無理ですし。だから、戻れない自分に抗いつつ、またバーボンでも呑んじゃうのでしょうね。「加速度」を聴きつつ。
    >ninngennmodokiさん
    以前は結構立ち入りなどは厳しかったようですが、最近は何ら問題なく入れます。学食も、前は学生生協の会員証の提示を求められたはずでしたが、今はフリーパスのようです。大学も変わりましたね。おかげで僕も食事が出来ました(笑)。
    変わったと言えば、確かに外見的に変貌したところはあります。滋賀県に移転してしまった学部(理工や経済・経営)もあれば、国際関係学部その他たくさん学部が増えました。建物も新しいものが増えました。グラウンド無くなったんですよ。そこにも2棟ほど新しい建物がありました。しかし、清心館も以学館もちゃんとあります。
    「時計台のある校舎」とは、後から出来た存心館のことです。法学部は広小路から最後に移転しましたからね。今はもちろん年季が入っています。でもまあ…昔のままでしたね。教室にまで入り込んでしまいましたが、あまり変わっていない。思わずタイムスリップしてしまいますよ。

    歩くだけで甦るものが多すぎますね。機会がありましたら是非訪れて下さい。
    大学って入りたくなりますね〜♪
    卒業してすぐはフツーに入ってたんですが、もう10年経っちゃうと入りにくいな・・・
    当時、関係者以外は立ち入り禁止でしたよ〜。。
    学食は在学当時からあまり利用してなかったので思い入れがないんですよね・・・
    どちらかと言うと生協とかマクドが多かったかも・・・
    でも、大学の向かいにあるラーメン屋さんに「学割」があって、いちおう大学生しか注文出来ないんだけど、学生証の提示も要らないので卒業してから注文したら通った。
    断られてる「明らかにおじさん」もいたけど、オイラは卒業してから5年ぐらいまでは学割が使えた。
    いつまで学割が注文できるか試してみようと思ってたのに、久しぶりに行った時に店が変わってたのでガッカリしましたが。
    てゆうか凛太郎さん、○○大学やったんですね〜☆
    偶然だけどBKCのほうに本日、行って参りました!
    試験会場やったんですよw
    ホント、構内を歩くとこんなオイラでもすっかり学生ですよね〜♪♪
    母校にも久しぶりに行ってみたくなりました!
    >にがさん
    ぼくはにがさんよりもっと時間が経って…20年ですからね(笑)。もう誰が見てもおっさんですから立ち入りには多少の勇気が必要かなぁやっぱり。でも、この時期は新入学の父兄などもチラホラ。そんなので多少カムフラージュされた面はありましたね。
    にがさんは見た目が若いので、おそらく「学生」と言ってもまだ通用するかも。ウラヤマしい。ワテなんぞメタボまっしぐらでございますのでねぇ。しかし教授のような知的な面相もしておらず(涙)。

    BKCって全然知らないのですよ。あそこが出来て何年になるのかなー。親が草津に住んでるので行くチャンスはいくらでもあるのですけど、特に用事も思いいれもないので機会を持っていませんねー。
    凛太郎さん
    はじめまして。ichishuと申します。
    「黄昏まで」で検索してここまでやってきました。
    ものすごくタイミングのずれたコメントになってしまったので、読んでもらえるのかどうかわかりませんが、足跡を残していきます。

    僕もさださんが大好きで、歌もトークも大好きというただのミーハーとなんら変わらないのだけど、彼の言葉のセンス、高度な表現テクニック、歌詞の深さに惹かれ、さださんの難解な歌詞の解釈などはじめるありさま。ところが、妻をはじめ、私の周りにこの感動を共有してくれる人が誰もおらず、フラストレーションがたまっていたところでした。
    そんな時に、私と同じように、さださんの歌詞の素晴らしさを語る凛太郎さんのブログに出会い、嬉しく思いました。

    しかも凛太郎さんの批評は的確。感動しました。

    2005年11月3日に書かれた内容で、
    檸檬に対して
    「あざやかな色彩。これはもう完全に絵画だ。」
    黄昏までに対して
    「印象派の絵画を思わせる黄昏の情景。」
    と書かれているのを読んで、「そうだ、そうだ!!」と思わず頷く自分がいました。

    凛太郎さんの言われるとおり、
    さだまさしの歌詞について語りだしたらちょっとやそっとじゃ止まりません。

    等持院が大学のすぐそばだったなんて、うらやましいです。
    以下は、僕の「さだまさしの歌詞はこう読め」のプロローグの一部ですが、僕がそんなサイト(たいしたサイトではないのですが)を始めようとしたきっかけが、まさに春告鳥だったんです。
    ---------------------------------------
    40歳になったころ、「夢供養」を久々に聴いてみた。「春告鳥」の「水面へと身を投げる」という歌詞に一瞬ゾッとし、ふとこの曲のタイトルはなぜ「春告鳥」なのだろう?と不思議に思う。そして「春告鳥」を広辞苑で調べて全身鳥肌が立った。なんとウグイス(春告鳥)は、葬式の隠語だったからだ。そして、歌詞を調べて行くと、出てくる出てくる不吉な言葉。ふつう誰も気づかないような言葉に、深い意味がこめられているではないか。こんなすごい歌詞をつくるさだまさしっていったい何者?もっともっと多くの人にさださんの歌詞の本当の面白さ、凄さを伝えたい、そんな気持ちで、拙いながらもさだ作品の批評をすることにした。
    -------------------------------------------
    よかったら、暇なときに来てみてください。

    >ichishuさん
    ありがとうございます。ブログ主がコメントに目を通さないなんてことはありませんから(笑)。

    ところで、大変恐縮でした。ichishuさんのサイトを拝見させていただきましたが、とても僕の書いたものなど比較にもなりません。僕はさださんの歌はもちろん好きなのですが、ライブに足も運ばないただのリスナーでして、ichishuさんのような筋金入りの方にご覧になっていただくのは実に恥ずかしい限りなのです。あっちの黄昏迄を書いたブログでは、さださんだけじゃなくていろいろな方の歌について書いていますし。

    さださんの歌詞について、解釈を試みられるのは実に意義のあることだと思いますね。ことに本歌取りは、残念ながら伝わっていない部分が多いような気がして。檸檬だって、そもそも梶井基次郎の色彩感覚の鋭敏さが根底にあるはずで、漢字で「檸檬」と書くことによってまず色の仕掛けがあるということを前提にした上で、幾重にも歌詞の中で塗り重ねて、そうして臨場感を出すと同時に虚無感を映像的に浮かび上がらせる。
    曲名でまずぶちかますのですね。或いは、先に曲を聴いた後にタイトルを見て「ああそうだったのか」と思わせる。
    ichishuさんがお書きになっている「歳時記」にせよ、確かに日記では「めぐる季節」というものが浮かび上がらない。歳時記は「季寄せ」なんですね。そして、俳句と言えば侘び寂び。つまり寂寞の思いでしょうか。そんな思いを歳時記に込める。それをまた「ダイアリー」と読ませることによって、終わりのある日記、という哀しさを生じさせる。
    「晩鐘」という言葉から、寂しさを感じない人はいないでしょうから。それは「終焉」であると看破されたとおり。ミレーの絵画を思い出す人もいるでしょうし、また「三井の晩鐘」のあまりにも哀しい物語を思い出す人もいるでしょう。三井の晩鐘も、鐘をつくときには「想い」が「想い出」に変わる。そんな切ないまでの寂しさを曲名に込め、歌詞には出してこない。ただ通奏低音のように鐘は鳴る。すごいですね。
    「信号が待ちきれなかっただけ」という言葉ほど解釈に苦しむ言葉もまたないような気がします。僕は単純に、自己正当化の哀しさだろうと思っていました。自分の想いを「哀れ蚊」「散りそびれた木犀」と例える、別れを信じられない(信じたくない)男であるからこそ、そんなところに拠り所をなんとかして見つけようとする。でも、「想い」は「想い出」に変貌してしまうのです。
    しかし、ichishuさんの解釈に頷ける部分があります。僕は晩鐘が、新しい始まりをも内包しているとはとても思えなかった。男って切り替えがなかなか出来ない生き物ですからね(笑)。そういう意味で、前向きな解釈もしていらっしゃるichishuさんの言葉を聴いて、自分の暗さを思い知りました(笑)。

    ああやっぱり止まりませんね(汗)。素晴らしい評論サイトを拝見させていただく機会を与えてくださってありがとうございました。
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